茶の湯釜制作工程 其の1 「アイデア~図案制作」
1、日本伝統工芸展のような公募展用に製作する時はデザインを重視したイメージで考えていきます。
また、すでに形の決まっている釜(真形釜、阿弥陀堂、など)は資料を見ながら現在の炉のサイズに合わせたりして考えていきます。
フルオーダーの釜の場合は、サイズ、デザイン、鐶付のデザイン、蓋とツマミなど細かい部分での調整があります。それでは、大きく分けた3つの種類で説明していきます。
「公募展用作品のデザイン」
この場合はアイデアの段階ですでに作品の全容が決まるくらい図案がシビアになってきます。
今、自分が表現したい形や模様などを立体的なイメージでスケッチしていきます。この時大切なのが「デッサン力」と言われる技術で、私は「物を見る目」「観察力」「表現力」と言うような感覚でとらえています。作りたい作品のイメージが思いついたらとにかく紙に書くのが大切に になります。 時には1つの作品のイメージスケッチでスケッチブック1冊以上使う場合もあります。イメージスケッチができたら次は図案におこしていきます。縦、横、高さのバランスを考えながらも茶の湯釜としての機能もわすれてはいけません。
「決まった形の釜のデザイン」
すでに形が完成している釜については、デザインよりもサイズや模様、形などの表現の正確さが重要になってきます。正確にものを見れないとしっかりとした釜は作れないでしょう。ここでもやはり「デッサン力」が必要になります。真形釜であっても口の形状から羽の形状まで細部にわたりよく考えられた形になっています。資料をよく見ながら図案化していきます。
「フルオーダーの釜」
この場合は前に述べた2つとは異なります。
写真のような注文書をお客様と良く話し合い決めていきます。決めた事を忠実に再現しなくてはならないので図案を作る前の段階が1番重要かもしれません。話し合って決めた、サイズやデザインをもとに図案を制作していきます。
図案制作
いままで述べた3つを考えて製図作業に入ります。デザインが決まると細かい部分のサイズ調整をしながら木型の元となる図案を書いていきます。
縦のセンターラインを決め、上下鋳型の合わせ目であるケキリの線を決めます。鐶付やツマミのデザインもこの時にシッカリ決めていきます。模様や銘文などもこの時に決めて後の作業でヘラ押しをするときに間違わないようにします。(あとでヘラ押し作業の時に詳しく説明)以上がデザインから図案までの説明となります。次回は、木型の制作を説明致します。