茶の湯釜制作 其の四~六

鐶付の製作工程

鐶付の制作工程を話す前に、少しだけ鐶付と鐶についてお話したいとおもいます。
鐶付は釜の中で唯一立体造形化された部分で、古い釜などの、製作地、時代を知るうえでもっとも重要な部分ともいえます。鬼面、遠山、獅子咬などの古様なものから。植物や動物、昆虫など様々なデザインの鐶付があります。鐶付はみなさんもご存じのとおり釜を持ち運ぶときに鐶を通します、本来、鐶は釜師の仕事ではなく打ち物師の仕事でした。有名なのが室町時代末期の「甲冑師:金森徳元」の作があり、近代では寺西宗山先生の作があります。

①鐶付の原型製作

鐶付は釜本体とは別に鋳型を作り出来た鋳型を釜の鋳型に埋め込んで作ります。釜1つ1つで鐶付と釜の接地面のアール(曲線)が違うので鐶付の型はその釜専用の鋳型となります。

まずは粘土で原型を作り石膏で型取りします。

写真の白い部分は挽いた鋳型から石膏で型どった鐶付の原型製作用の台座です。この台座は釜のアールと同じになるのでこの段階で狂いが無いようにしなくてはなりません。

写真では鐶付の種類が違ってますが、石膏で型取った原型です。原型の中央に出っ張った部分がありますが、そこが鐶付の穴になる部分です。

石膏原型ができたら、離型剤を良く塗って鐶付の鋳型用の土をつけていきます。この土は鐶付の模様などがよく写る様に細かい砂と埴汁を混ぜて半年~1年寝かせたものを使います。

釜1つに対して鐶付は2つあるのですが予備も含めて3つづつ作ります。このあと乾燥炉でよく乾かしてから焼成します。

焼成してるとこを上から見たところです。下で赤くなっているのは炭で、鐶付焼成用に細かくしてあります。

焼成が完了した鐶付の鋳型です。このあと凹んだ所に同じ土で作った棒をつけ再度焼成していきます。

棒を付けて焼きあがったら鐶付の鋳型の完成です。
このあと上型に埋め込んでいきます。

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